本を覗く眼鏡をかけた女性

数あるアフィリエイト広告の中でも高額な報酬が得られる部類に入る「投資」を目的とした金融サービスなどへの利用を促す広告について、金融商品取引法に抵触する可能性があることをご存知でしょうか?

アフィリエイトは単なる広告代理店という役割なだけであって、法律を犯すことがあるとは思わない方も多いでしょう。

そこで、さまざまな投資に関する広告案内があるなかで、どのようなアフィリエイト広告が金融商品取引法に抵触するのかを解説します。

アフィリエイトと法律

窓際でパソコンを見る男性

 

アフィリエイトに関する法律の記事や情報には、触れる機会があまりないとは思いますが、その理由として「アフィリエイトという事業形態をダイレクトに規制する法律がない」という前提があります。

しかし民法や刑法などの一般的に周知されているであろう法律から貸金業法や薬事法、金商法つまり金融商品取引法など、取り扱うジャンルの違いによって対応する法律が、そのままアフィリエイトにも通用するということは知っておくべきことです。

サイトやブログなどで気軽に始められるアフィリエイトですが、そこから収入を得る以上は税法も関係してくるので税金を納める義務も出てきます。

アフィリエイト開始にあたって、関係法令について言及しているサイトはあまり見かけません。

法律を持ち出せば気軽に始められるというメリットが損なわれるために、知ってか知らずか、関係法令等の情報を記載していないサイトがほとんどです。

アフィリエイトの禁止行為や注意事項

禁止ロゴマーク

アフィリエイトは景品表示法や著作権のみならず、広告の対象となる商品やサービスによって関係する法律も異なります。

例えば、キャッシングのアフィリエイトでは、「審査は誰でも通ります」みたいに借入を助長するような内容を表示すると貸金業法に抵触します。

また健康食品やサプリメントなどをブログで紹介する際に、「ブルーベリーを食べると視力が上がります」などと表示すれば薬事法違反で罰せられます。

金融商品である株やFXにおいても、「絶対儲かります」、「誰でも簡単に始められます」などと過度に取引を促すような表示や誤解・誤認を生じさせるような表示がある場合は、金融商品取引法違反となります。

表示内容によって法令違反が生じることが多いアフィリエイトですが、中でも金融商品取引法の場合には表示の内容に関わらず、法律に抵触してしまっていることもあるのです。

取引への誘引目的ではなく、ただの口座開設のみの表示であったとしてもです。

株式やFXの取引口座開設はアフィリエイトの中でも高額な報酬を得られる反面、法令違反をしてしまう可能性もあるリスキーなものですが、そもそもアフィリエイトにも関係する金融商品取引法とは一体どういった法律なのでしょうか。

金融商品取引法とは?

法律の本

株式やFXなどの金融商品は投資内容、取引額が高額である場合も多く、巨額の損失を出してしまうこともあります。

またインターネットの普及によって投資を安易に始めることが可能になり、専門的な知識がなくても取引ができてしまいます。

金融・資本市場の変化に対応して、利用者の保護や利便性の向上、市場機能の確保や市場の国際化などを目的に、平成18年に証券取引法が一部改正され、翌年にはさらに金融商品取引法へと改正されました。

この法整備の具体的な内容に関しては次の通りです。

(1) 投資性の強い金融商品に対する横断的な投資者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築
(2) 開示制度の拡充
(3) 取引所の自主規制機能の強化
(4) 不公正取引等への厳正な対応
の4つの柱からなります。また、これらの内容については、「包括化・横断化」、「柔軟化(柔構造化)」、「公正化・透明化」及び「厳正化」がキーワードになります。

引用元:金融庁 金融商品取引法制の概要について(第1回)

(1)の投資者保護制(投資サービス法制)の構築とは、旧法の下では、利用者保護法制が適用されなかった金融商品の規制対象商品を拡大した結果、アフィリエイト広告ではお馴染みのFX(外国為替証拠金取引)が規制の対象となりました。

現在の規制対象商品は国際、地方債、社債などの債権、株式、投資信託、信託受益権、集団スキーム持分、そしてFXを含む様々なデリバティブ取引などがあります。

(2)は有価証券の開示に関わる規制のことで、(3)は取引所の業者行為規制のことで、(4)は不公正取引の規制のことです。上記に加えて、業務内容の範囲に応じて金融商品取引業を区分して参入規制を定めています。

その区分として、有価証券の販売・勧誘業務や顧客の管理業務などの「第1種または第2種金融商品取引業」、投資運用を行う「投資運用業」、投資助言に関する業務を行う「投資助言・代理業」に分けられており、各分野の業務を行うにはそれぞれ登録の手続きをすることが必要になります。

実際にアフィリエイトが金融商品取引法に抵触する可能性があるのはどの部分なのでしょうか。

アフィリエイトは代理業にあたる?

 

結論から言えば、アフィリエイトが金融商品取引法に抵触するのは、FXなどの業者(広告主)が投資助言業務を行っている場合、その業者の口座開設の広告自体が金融商品取引法上の「媒介行為」にあたり、投資代理業とみなされてしまう可能性があるということです。

したがってアフィリエイターが投資代理業に登録していない場合は法令違反に問われ、刑事罰として最長3年の懲役刑となることも考えられます。

先述した「ただの口座開設のみの表示」であったとしても、代理業として判断される可能性があるのです。

また刑事罰のみではなく、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に登録していた場合は規約違反で契約を解除されますので、アフィリエイトでの禁止行為についてはしっかりと把握しておく必要があります。

代理業となるかどうかに関しては、平成25年に関東財務局が出した、海外無登録業者によるFXなどの勧誘に注意を喚起する書面を公表しました。

書面には「口座開設をサポートします」や「キャッシュバックリベートを提供します」などと謳う海外無登録業者のアフィリエイト広告が媒介行為に該当し、金融商品取引法違反行為(無登録営業)に該当する可能性があると示唆しています。

さらに関東財務局のホームページには「代理業は投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介を行うもの」という記載があります。

無登録業務は金融商品取引法違反となり刑事罰の対象となるために立派な犯罪です。

現在アフィリエイトを行っている方も、これから始めようとする方も注意事項や禁止行為にも目を向ける必要があります。

仮想通貨も金融商品?

仮想通貨bitcoinメダル

近年急速に市場を拡大させてきた仮想通貨ですが、仮想通貨の規制に関する法律は整備されているのでしょうか。

2019年5月21日に仮想通貨を盛り込んだ金融商品取引法改正案が衆議院を通過し、仮想通貨を金融商品取引法の規制対象とすることになりました。

仮想通貨という呼称は暗号資産へと変更し、ICO(新規仮想通貨公開)に至っても金融商品取引法の対象となります。

儲かると話題の仮想通貨アフィリエイト

投資関係のアフィリエイト広告は高単価で収益性の高さが特徴ですが、仮想通貨も同様の場合が多いようです。

一般的には仮想通貨取引所の口座開設の申込みが報酬発生条件ですが、中には取引などの手数料の何%かが報酬となる場合があります。

もちろんASPが扱う仮想通貨広告も多数存在しますが、仮想通貨取引所と直接アフィリエイト契約を結べて、ASPの手数料が無い分、より多くの報酬を手にしているアフィリエイターが存在します。

2017年頃に仮想通貨ブームとなりましたが、仮想通貨流出事件の後は市場も冷めた状態になりました。その煽りを受けて、2018年にはサービスを終了する仮想通貨も出てくるなど一時は勢いが衰えました。

2019年になり情勢は次第に回復、仮想通貨としての市場も拡大傾向にあるのでアフィリエイトに関しても同様のことが言えるでしょう。

仮想通貨にも禁止行為があるの?

現状、仮想通貨は金融商品取引法の対象外であるため、上記の投資代理業の無登録業務としての違反行為はありませんが、法律施行後は投資代理業になるかどうかの見極めは大切です。

法律に気を付けるのは大前提ではありますが、仮想通貨だけではなく投資分野のアフィリエイトをする上で気を付けるべきことがあります。

投資は確実に利益の上がるものではない、ということです。「誰でも簡単に儲かります」や「年利数%は確実」など、特別な根拠を提示せずに利用者を煽るような表示をすれば景品表示法違反に問われることもあります。

投資アフィリエイトのターゲットは、まだ口座を持っていなくてこれから投資を始めようとする、いわば投資初心者になります。

クレジットカードも未契約の人が対象ですが、クレジットカードの場合は使った分を翌月などに支払うという明快なシステムのため、初めての人でも慣れるまでに時間を要さないでしょう。

しかし投資の場合、債券や株式、投資信託などの有価証券だけでなく、さまざまな派生商品としてのデリバティブ取引が存在し、投資の案件としても数え切れないほどあります。

それを投資初心者に説明して果たして理解できるでしょうか?

投資にリスクはつきもの

RISK文字のサイコロ

 

投資は不確実性が強く、知識の豊富なベテランのトレーダーであっても損失を出すことはしばしばあります。

投資初心者に至っては、リスクの分散方法や株価や為替相場を左右する重要な指標のことなどもわからないために、そのときの運や勢いに任せて投機的な手法に臨んでしまうことがあります。

その顕著な例としてはFXが挙げられます。

FXは外国為替証拠金取引とも呼ばれ、単に通貨の売買を決済するだけではありません。FX口座に証拠金を入れることで、日本ではその証拠金額の25倍までレバレッジをかけて取引をすることが可能なのです。

例えば、レバレッジ25倍では4万円で100万円の取引が可能になるということです。

手数料が無いと仮定して、1ドルが100円の場合には、4万円で400通貨分購入できますが、100万円の場合だと1万通貨分の購入が可能です。

そして円安が進んで1ドルが101円になった場合には、400ドルは4万400円になり400円の評価益となり、1万ドルは101万円となり1万円の評価益となります。

その時点で決済すれば現物取引(レバレッジなし)の25倍の利益を得られるということですので、こういった事象を例に挙げればFXは魅力的な金融商品です。

25倍のレバレッジをかけることで得られる利益は25倍に膨らみますが、単純に値下がりした場合にも損失が25倍になるという裏面も持ち合わせています。

FXだけではなく仮想通貨にもあてはまることであり、証拠金取引を行う際には損失を出した場合の対処法を身につけておく必要があります。

アフィリエイトブログの甘い勧誘

アフィリエイトの宣伝ブログの多くがマイナスの部分には目を瞑って、プラスの面にだけ照準を合わせています。

広告から商品購入やサービスの申込みに繋げるためには、ネガティブな情報は極力表示したくないものです。

通常、失敗した人が表に現れることはあまりなく、成功した人が取り沙汰されるというようなことは今に始まったことではありません。

FXや仮想通貨など、投資での儲け話の裏にも、同様に投資に失敗して大なり小なり損失を出した人が多数いることを忘れてはいけません。

ブログに法的責任はあるのか?

アフィリエイトブログは、投資系広告に関わらず、どこまでの範囲で責任を負うのかは明確ではなく、単なる広告媒体としての存在とみなされているのが現状です。

アフィリエイト広告の形態としては、利用者が広告を自主的にクリックして、商品やサービスの内容や規約を理解して自主的に購入したり利用したりしていると判断されているということです。

つまりブログの中身は虚偽や誇大広告、その他法律に抵触しない範囲であれば自由な記事を書けるということです。

FXや仮想通貨で、儲けられる可能性は十分に考えられるのでそれを取り上げても嘘にはならず、損をする可能性はあってもそれに触れなければいけないという規定もないとすれば、ブログにおける説明責任は存在しないと言えます。

また店頭での対人案内や個別相談などとは違い、ブログはネット上で不特定多数に向けて配信されているので、読者の理解度に応じて完全な教科書となるべき記事を書くのは無理があります。

FXや仮想通貨は元本割れの可能性があることすら触れられていないこともありますが、その点については各ブロガーの裁量によるとしか言えず、現状では法による規制も及ぶところではありません。

まとめ

アフィリエイトで有価証券やデリバティブ取引などの投資広告を配信する場合には、金融商品取引法に抵触しないかどうかをしっかりと確認しましょう。

広告主である企業が投資助言業を行っていれば、広告自体が媒介行為と認識されて、投資代理業の無登録業務として刑罰を受ける可能性があります。

また仮想通貨も金融商品取引法の改正に伴い、同法の規制対象になることで今後のアフィリエイトについても注意が必要となってきます。

FXや仮想通貨は安易に参加できるだけに、見過ごされがちな証拠金取引のルールや損失への対処法について、現状では自己責任において危険を回避し取引を行うしかなく、新規利用者における投資サービスの利用者保護が完全とは言えません。

ブログ内で投資への注意喚起がないのはブロガーの裁量であり、そのブログを見て投資を始めること、あるいは他のブログや情報サイトや企業の説明などを読んで理解して始めることも、どちらも利用者の自発的な行動と判断されます。

ある意味でモラルに関する注意点もありますが、アフィリエイトブログで投資広告を宣伝する場合は、くれぐれも禁止行為をしないよう、金融商品取引法について正しく理解してから始めたいものです。

(画像はイメージです)

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