
アフィリエイト事業が軌道に乗ると毎月の収益を確認するのが楽しくなるでしょう。
しかし収益が増加すると共に税金も比例して増えることに頭を抱えるアフィリエイターも少なくありません。
「これまで個人事業でやってきたけど会社化した方が良いのだろうか」
「法人化した方が逆に税金面以外でも面倒な手続きが増えそうで気が進まない」
「個人で満足しているけど会社を作ることにどんなメリットがあるのだろう」
これまで個人でやってきた方にとっては会社にするというのは、とんでもないことに感じてしまうでしょう。
アフィリエイトで収益が増えてきて所得税だけで100万円以上も支払う必要が出てくると、かなりの出費をしていることに悩まされます。
この記事ではアフィリエイト事業を法人格にしてスタートすることのメリットやデメリット、会社化するタイミングなどについて解説していきます。
目次
法人化するとどうなる?
法人化とは会社を設立することです。
会社を設立すると法務局に登記されて会社の情報が登録され、その会社の情報を世間に対して公開することになります。
会社がどのような事業を営んでいるのか、誰が経営しているのか、資本金がいくらの会社規模なのかなどの情報を閲覧できるようになり、社会的な立場が変わるのです。
未だに『どんぶり勘定』で白色申告をしている個人事業主がいますが、法人化すると財務状況の透明化は必須となります。
複式簿記で帳簿を付けるという経理事務を行ったことがない人にとっては抵抗のある作業ですが、経理ができる人を雇用するか税理士に依頼するなど、決算についての知識も学ぶ必要があるでしょう。
株式会社を設立しよう

2005年の『商法』改正による『会社法』の誕生で株式会社を資本金1円から設立することが可能になりました。
それまでは株式会社は資本金1,000万円、有限会社は資本金300万円がそれぞれ必要でしたが、会社設立に関する法律が緩和されたことで多額の資金が不要になったのです。
当然ですが会社の資金が1円では営業活動はできませんので、それなりの資本金を用意する必要はあります。
また改正前には3人の取締役が必要であったのに対して、条件があるものの現行法では取締役が1人だけで設立できるのです。
つまり自分1人だけで会社を設立して運営していくことが可能であることを意味しています。
あまり人と関わるのが苦手だという方も1人株式会社が可能ですので、法人化を検討してみるのも悪くはないはずです。
有限会社は新設できなくなっていますが株式会社で充分に事足ります。
法人化のメリット
法人化することの最大のメリットについては一概にコレとはいえません。
というのも会社を設立する人それぞれに目的や方針が異なるので、会社によっては享受できるメリットが変わってくるからです。
・税金対策
・資金調達
といった経営上の利点が多く、個人より有利に事業を行うことができるでしょう。
法人化しているということはそのまま社会的信用を獲得することに繋がり、事業の幅が拡大するだけではなく、金融機関から融資を受けやすくなるメリットがあります。
社会的信用を築くという点においてはすでに世間一般でも会社単位での取引の方が有利に働くことが認知されています。
個人事業というのは不透明な部分が多く、社会的な保証制度を採用していない事業者も少なくないことから、組織として成立している会社としか取引しない企業も多いのが実情です。
法人化すると企業が仕事を依頼してくる機会が増えやすくなります。
その理由としてWebライターなどのフリーランサーやアフィリエイターでも、仕事の継続率が低いので成果を出して生き残り、さらに会社化として信用度が個人とは桁違いになることも想像がつくでしょう。
つまりWeb業界においては法人化していることは成功者の証とも解釈することができるので、より多くのビジネスチャンスが生まれることに繋がります。
そして法人化する際のもう1つのメリットが、個人事業では損金算入できなかった経費を計上して納税額を減額できること、要するに節税できることです。
個人事業の場合は経費を差し引いた事業所得は全て個人の所得となるので、最大で45%もの税率が課されることになります。
ほぼ利益の半分が税金として持って行かれるのは精神的にかなり辛いものになってしまうでしょう。
それが法人化することで最大でも23%程度と、凡そ個人の所得税の半分程度の税率になるという点は法人化する最大のメリットといえるのではないでしょうか。
住民税を含めると個人の実効税率は55%ですが、法人の場合には法人住民税・地方法人税・事業税などを含めても30~37%なので、税金対策では法人化した方が明らかにメリットがあることを良く理解しておいてください。
法人化のデメリット
そんな節税のメリットがある一方で法人ならではのデメリットもあります。
恐らく個人事業主が法人化することで最も違いを感じるのは『会社のお金は自分のお金ではない』ということではないでしょうか。
例えば商談や打ち合わせなどを理由に飲食費や接待費という名目で事業経費として利用できるメリットはあります。
しかし会社の金庫や預金を自分の財布のように扱うことは横領となる犯罪行為となるので、会社のお金を利用するには何らかの事業経費として捻出する必要があるのです。
個人事業の場合には売上金を自由に使用することは何の問題もありませんでした。
ところが法人化してしまうと、いくら自分1人だけの会社であっても自由にお金を使うということができなくなるのです。
私的な目的で会社の資金を利用すると役員報酬として計上する羽目になり、個人の所得が増えて結果として多額の税金を納める事態になる場合もあります。
法人化して収益が多くなってくると税務署も目を付けるようになるので、安易に会社資金に手を付けることができなくなるのは不便でしょう。
また社会保険をかける義務が生じたり、税理士の顧問料を支払うなど個人では支払う必要のなかった費用がかかってきます。
会社を設立する際にも公証人による定款の認証、法務局での会社の登記料、司法書士に手続きを依頼するなどで30万円以上の出費がかかるのも考えものです。
たしかに法人化すると実質的な納税額は減額できるでしょう。
しかし会社の決算と個人の確定申告をする必要があり、二重に税金を取られているような印象を抱く場合もあり、何となく不利益を被っていると感じる方には不向きかもしれません。
法人化するならこのタイミング
「売上がいくらになったら法人化しましょう」と、絶妙なタイミングで法人化することはまずありません。
なぜならアフィリエイトの収益というのは、毎月の変動幅が大きくなる確率が高く、安定的とはいえないからです。
「だいたい毎月30万円ぐらいの収入はあるけど、年に1ヶ月だけ100万円を超える」ような場合には法人化はオススメという訳ではありません。
個人の場合は所得によっては税金を払わなくて良い場合がありますが、法人の場合は何もしなくても法人住民税として年間約7万円の支払い義務が発生します。
法人化の目安としては、500万円や1,000万円でも節税効果が出るので、金額ベースで法人化するなら最低500万円以上の年商を目標とすべきでしょう。
しかしアフィリエイトは収益が激減する可能性を秘めていることから、今後収益が伸び悩みそうな不安を抱いているうちは個人事業のままの方が都合が良いかもしれません。
逆にいえば、アフィリエイトのノウハウをマスターし、収益化のコツを完全に掴んで収益を伸ばせる自信・確信が持てているのであれば法人化した方が良いといえます。
アフィリエイトに限ったことではありませんが、事業規模を拡大していくことと法人化することには相互メリットが発生し、より多くの収入を得たいと思ったら法人化すべきです。
家族を役員で人数分の節税メリット
雇用するとなると社内規則の取り決め、給料の管理、源泉徴収だけでなく、コミュニケーションをとって円滑に業務が進行するようにマネジメントしなくてはいけません。
他にデメリットでも紹介した社会保険料の支払いやさまざまな雑務が生じることになるので、管理コストも増えるであろうことを念頭に置いておきましょう。
やはり単独で事業を行うのが楽でコストパフォーマンスも良いとなると、個人事業の形態をそのまま引き継いで1人でやっていくのも悪くありません。
しかし1人株式会社というのはメリットばかりではなく、会社の利益を個人に移す際に多額の所得税がかかってくるという裏面もあるのです。
その対策として家族を役員などにすると人数分の節税メリットを受けることが可能になります。
例えば配偶者を事務員として雇用し、年間100万円の給与を支払うことで会社の経費が100万円増え、家計の収入が100万円増えるのはお得でしょう。
配偶者控除も利用できる範囲であれば、より有効な節税方法となり得ます。
新会社法の制定により、法人化するというのは「必ずしも誰かを雇用しなくてはいけないもの」ではなくなりました。
1人で法人を起ち上げてやっていくも良し、個人事業のまま継続するも良し、社員を増やして大規模化を目指すことも全て会社の代表である自分次第です。
まとめ
税金を減額できるという点で見ると法人化した方が良いということは理解頂けたはずです。
必死になって作業をして稼いだはずが税金で半分以上持って行かれて最終的に残る金額を想像すると、やはり節税について考えるべきではないでしょうか。
個人では経費にできなかった旅費の日当、積み立てができる退職金も利用できるなど、個人事業時代にはできなかったことが会社を設立することでできるようになります。
必ずしも法人化しないとやっていけないという理由はありません。
アフィリエイターにとっては法人化の主なメリットは信用の獲得と節税のため、収益が大きくなってきたときにぜひ検討してみてください。
(画像はpixabayです)
