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副業OLには気の毒だが…正直な納税者にはマイナンバーは「いいこと」
マイナンバーの制度の運用が5日から開始された。10月中旬から11月にかけて、日本で暮らす一人ひとりに割り振られるマイナンバー(社会保障・税番号)の通知が届く予定だ。
マイナンバーに関しては、現在、既に決定している使われ方と、将来の法改正で追加されるのではないかと予想される使われ方の両方についての議論が混在していて、メリット・デメリットがいまひとつクリアでない印象を受ける。また、消費税の軽減税率適用に関して、財務省が提示したマイナンバー・カードを用いた還付案が、全く不評だったことも新制度への期待を低下させている。
同制度に関しては、もともと賛否両論があるが、あえて筆者は楽観論を語ってみたい。
導入当初、マイナンバーの利用は、税金、社会保障、医療および災害に関する用途に限定されることになっている。
こうした利用は、マイナンバーのポテンシャルの一部を利用しているに過ぎないように思えるが、それでも大きなメリットがあると筆者は考える。
マイナンバーに最も期待される効果は徴税と社会保険料徴収の効率化だ。
現在、夜の街では、マイナンバーの導入によって、水商売(お酒を扱う接客業)、あるいはお湯商売(シャワーを使ういわゆる風俗)でアルバイトで働き、OLなど別の本業がある女性たちが、勤務先に副業の所得を知られることを恐れて辞めていくのではないか、といった噂が流れている。
彼女らには気の毒のような気もする。しかし、これまでに十分捕捉されてこなかった所得が把握されて、ルール通りの課税がなされることは、所得がガラス張りで把握されているサラリーマン納税者の立場からすると、自分たちが増税されずとも、財政の歳入が増えることを意味する。財政が最終的に納税者の負担で賄われることを考慮すると、「正直な納税者」にとって、これまで取り洩れていた税金が徴収されるようになることは「いいこと」だ。
徴税と社会保険料徴収のデータが共通化することで、国民年金などの社会保険料の徴収効率が上がることが期待されている。年金財政は、将来の保険料収入ないし運用益が不十分だった場合には、国が負担をするか、年金支給額を削減するかしかない。既に年金保険料を納めている普通の年金加入者や納税者一般にとって、そうでない国民への保険料徴収が強化されることはいいことだ。
医療保険の不正請求減少にも同様のことが言える。いかにも体制寄りの意見で、拍子抜けしておられる読者がいるかもしれないが、政府は近い将来、マイナンバーの導入によってどれだけ財政収支(社会保険料を含む)が改善したかを、大いに宣伝すべきだ。もちろん十分な効果が前提となる。 (経済評論家・山崎元)
zakzakより転載